33 なかなおり

昨夜、ささいなことで大事な人と喧嘩になりました。自分自身でさえ「わたし」を把握しきれていないのに、あなたに分かるわけないじゃないか。

……と、お互いがお互いを突っぱねたのです。

踏み入れられたくない場所や、知る必要のないこと。素直になれないこと、捻くれてしまったこと。たぶん、あるのです。けっして隠したいわけではないのに、上手に伝わらなくて、やきもきしたりなんかして。

そう、順序というリズムが、誰の心の中にもあって

そのリズムを崩して相手を知ろうとしたから、喧嘩になってしまったのですね。そこからはもうアレですよアレ。静かに淡々と言い合いです。田舎の星空の下。似た者同士が真夜中に、田んぼの中心で自我のぶつけ合いです。

真っ暗で相手の顔が見えないからでしょうか。薄明かりの中、表情を探します。見えないけれど見えるもの。見えるけれど、この瞬間は見えなくて良いもの。

いつの間にか空は、白い朝を抱えて、うるさかったカエルの合唱は止み、綺麗な七星は雲隠れ。

「なんで喧嘩してたんだっけ」

てへぺろ。

そんな明け方、すがすがしい1日の始まりなのでした。