究極は子守歌かもしれないね

大掛かりな仕掛けや照明、音響効果、大道具等々、視覚聴覚を最大限刺激する舞台演出の世界って凄いです。当然出演者にも高次元でのパフォーマンスが要求されます。訓練されたもののみが到達する世界に観客は引き込まれます。当然のことながら舞台設備を担当する側は演技者のパフォーマンスを最大限に引き出す為に綿密な計算のもとに公演を組み上げていきます。以前、仕事でステージ音響関連に携わった時に良く感じていた事があります。「もし何も無いステージで、このミュージカルを観せたらどうなるのだろう?」…これは舞台設備側のプライドでもあります。こうして書いてみて言いたい意味がきちんと伝わるでしょうか?誤解を恐れずに続けます。歌い手さんや演技者さん、ダンサー等のパフォーマーさん、内容が同じだとしても演じるステージの大小、善し悪しでパフォーマンスの格は、やっぱり変わるでしょう、いや変えて見せねばならないのです。これはセッティングする側の気構えであるのですが、アーティスト側はそれを言い訳にしてはいけません。もしも本物ならば自分自身の動き、声、表情、指先一本の動きだけでさえも観客の息を飲ませてまばたきさえも
忘れさせて魅入らせる…そんなステージが可能なはずです。残念ながら、と言うより幸いな事にそんなアーティストは稀です。幸いな事に、と書いたのはそんなアーティストが何の力も実績も無い自分の前に現われるのはまず無いだろうって事です(笑)。決して強がりではありません。だから僕は「誰もが気軽に立ち寄れるステージ」を目指します。気軽に聴いてもらえて心に残る音楽を作りたいです。子供の手をひきながら、とか、お買い物行く時に自転車乗って…そんな時に何気なく口ずさんでしまう。乃里絵さんやあさ美さんと一緒に、そんな曲が届けられている今が最高の幸せを感じています。